磐乃井酒造|花泉で受け継ぐ「磐乃井」と地域の米を生かした酒造りを紹介

磐乃井の文字 岩手県の酒蔵

岩手県一関市花泉町に蔵を構える磐乃井酒造は、代表銘柄「磐乃井」を手がける酒蔵です。

1917年(大正6年)、花泉地方の人々によって設立され、地域に根ざした酒造りを受け継いできました。

長く親しまれてきた「磐乃井」に加え、地元の米と水を大切にする「百磐」や、低アルコール原酒の「カルイワノイ」なども展開しています。

この記事では、磐乃井酒造の基本情報や歴史、花泉の原料を生かした酒造り、代表的な日本酒、酒蔵見学や購入方法について紹介します。


磐乃井酒造株式会社は、岩手県一関市花泉町にある日本酒の酒蔵です。

代表銘柄は、酒蔵名にも使われている「磐乃井」です。

項目内容
酒蔵名磐乃井酒造株式会社
読み方いわのいしゅぞう
所在地岩手県一関市花泉町涌津字舘72
設立1917年(大正6年)
代表銘柄磐乃井
主なブランド磐乃井、百磐、真心など
主な特徴地域住民の出資によって設立され、地元の米や水を生かした酒造りを継続
酒蔵見学事前予約制
売店あり
購入方法酒蔵売店、公式オンラインショップ、取扱店など

磐乃井酒造が蔵を構える花泉町は、一関市の南部に位置しています。

国税庁の酒蔵マップにも、一関市で日本酒を造る製造場として掲載されており、主な銘柄には「磐乃井」が挙げられています。


磐乃井酒造を代表する日本酒が、酒蔵名にも使われている「磐乃井」です。

国税庁の酒蔵マップにも主な銘柄として掲載されており、純米酒や純米吟醸酒、純米大吟醸酒、本醸造酒など、酒質の異なる商品が造られています。

長く受け継がれてきた「磐乃井」に加え、磐乃井酒造では「百磐(ひゃくばん)」や「真心」といったブランドも展開しています。

「百磐」は、地元の米や水を大切にした酒造りから生まれたブランドで、純米酒や純米吟醸酒などを中心に商品が造られています。一方の「真心」は、純米大吟醸酒などに使われている銘柄です。

代表銘柄の「磐乃井」を中心に、それぞれ異なる酒質や役割を持つ日本酒がそろっています。


磐乃井酒造は、1917年(大正6年)、花泉地方の人々によって設立されました。

酒蔵の基盤となったのは、当時の花泉周辺にあった7つの村です。地域の有志を中心に175名の株主が出資して株式会社を立ち上げた点は、一人の創業者による家業とは異なる、磐乃井酒造ならではの成り立ちといえるでしょう。

当時、この地域には清酒を造る酒蔵がなく、濁酒の密造が広がっていたとされています。そこで、地域に正式な酒造会社を設け、米と酒を交換できる仕組みをつくることで、こうした状況を改善しようとしたことが設立の背景にありました。

創業初年度から酒造りが始まり、その後は株主数や製造量を増やしながら、花泉の地酒として歩みを重ねていきます。

しかし、1943年(昭和18年)には、戦時中の企業整備によって周辺の酒造会社と統合され、両磐酒造が設立されました。これに伴い、磐乃井酒造は自社での醸造を休止し、清酒の小売を続ける時期を迎えます。

再び単独で酒造りを始めたのは、1952年(昭和27年)のことです。醸造許可を取得し、磐乃井酒造は再び花泉の蔵で日本酒造りを続けるようになりました。


磐乃井酒造では、花泉をはじめとする地域の米や、岩手県産の酒造原料を生かしながら、日本酒造りを続けています。酒蔵のある花泉町は、米作りと深く関わってきた地域です。地元産米を取り入れ、土地とのつながりを大切にした酒を手がけています。

また、地元の米や水に目を向けた「百磐」を展開する一方で、岩手県産の酒米や清酒酵母を取り入れた日本酒も造られています。地域性を大切にしながら、酒質の幅を広げていることも特徴です。

こうした酒造りは、全国新酒鑑評会やSAKE COMPETITIONをはじめ、国内外の品評会でも評価を受けてきました。

花泉の原料と岩手の酒米や酵母を生かしながら、受け継いできた酒造りに新しい表現を重ねていることが、現在の磐乃井酒造の姿といえるでしょう。

磐乃井酒造では、長く受け継がれてきた「磐乃井」を中心に、地域の原料を生かした「百磐」や、新しい酒質を目指した日本酒も手がけています。

ここでは、それぞれ異なる特徴を持つ三つの日本酒を紹介します。


純米大吟醸 磐乃井

「純米大吟醸 磐乃井」は、代表銘柄の名を冠した一本です。

岩手県産の酒造好適米「吟ぎんが」を40%まで磨き、岩手県の清酒酵母「ジョバンニの調べ」を使用して仕込まれています。

2023年のSAKE COMPETITIONでは、純米大吟醸部門でGOLDを受賞し、第6位に選ばれました。このほか、全国新酒鑑評会やKura Master、IWCなどでも評価を受けています。

岩手の米と酵母を生かし、磐乃井酒造が培ってきた酒造りを表現した純米大吟醸です。


百磐の純米酒

「百磐(ひゃくばん)」は、地元の米と水を大切にする磐乃井酒造の姿勢が表れたブランドです。

純米酒や純米吟醸酒などが展開され、使用する酒米や仕込みによって、それぞれ異なる特徴を持つ日本酒が造られています。

代表銘柄「磐乃井」が酒蔵の歩みを受け継ぐ存在であるのに対し、「百磐」には、花泉をはじめとする地域の原料に目を向けた現在の酒造りが表れています。


特別純米酒 カルイワノイ

「特別純米酒 カルイワノイ」は、磐乃井酒造が低アルコールの日本酒に取り組むなかで生まれた商品です。

名称は、「軽い」と「磐乃井」を組み合わせたもの。地元産の美山錦を使用し、アルコール度数を13度に抑えながら、加水を行わない原酒として仕上げられています。

原酒らしい旨味を残しつつ、甘味と酸味の調和を意識した酒質からは、長く受け継いできた酒造りを土台に、新しい飲みやすさを模索する姿勢が感じられます。


磐乃井酒造では、事前予約制で酒蔵見学を受け付けています。

見学は通年で実施され、受け付け時間は10時から16時までです。所要時間は約40分で、料金は無料です。1人から申し込むことができ、酒蔵には駐車場も用意されています。

原則として日曜日・祝日・お盆・年末年始は休みとなっており、作業状況によっては案内できない場合や、見学開始まで待ち時間が生じることがあります。訪問を予定している場合は、電話またはメールで希望日時を伝えておきましょう。

公式サイトでは、専務取締役兼杜氏が蔵内を案内すると紹介されています。酒蔵の中を見学しながら、磐乃井酒造の酒造りに触れられる機会です。

商品の購入については、国税庁の酒蔵マップで売店があると案内されています。ただし、売店の営業時間や休業日は公式サイトで詳しく公表されていないため、現地で購入したい場合は、見学予約とあわせて確認しておくと安心です。

酒蔵を訪れるのが難しい場合は、公式オンラインショップも利用できます。代表銘柄「磐乃井」をはじめ、「百磐」や季節商品などが販売されているほか、電話・FAX・メールでも注文を受け付けています。


地域の人々が酒蔵を立ち上げた記憶は、今も花泉で造られる一杯の中に息づいています。

長い時間をかけて受け継がれてきた酒造りに触れると、磐乃井酒造が単に日本酒を造る場所ではなく、土地の歩みをつないできた存在であることが感じられます。

酒蔵を訪れ、実際にその空気に触れてみるのもよいでしょう。あるいは、花泉で育まれた日本酒をゆっくり味わうことで、この土地に流れてきた時間へ思いを寄せることもできます。

磐乃井酒造の日本酒は、花泉の風土と、酒蔵を支えてきた人々の記憶を、今へ静かに伝えているのではないでしょうか。

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