菱屋酒造店|宮古で醸す「千両男山」と震災を越えて受け継ぐ酒造りを紹介

千両男山の文字 岩手県の酒蔵

岩手県宮古市鍬ヶ崎にある株式会社菱屋酒造店は、代表銘柄「千両男山(せんりょうおとこやま)」を手がける酒蔵です。

1852年(嘉永5年)に創業し、宮古の漁師町で酒造りを受け継いできました。2011年の東日本大震災では蔵や醸造設備が大きな被害を受けましたが、多くの支援に支えられ、同じ年の冬には酒造りを再開しています。

現在は、米の旨味を生かした純米酒を中心に、三陸の海産物とともに楽しめる日本酒を醸しています。

この記事では、菱屋酒造店の基本情報や宮古で重ねてきた歴史、酒造りの特徴、代表銘柄「千両男山」の主な日本酒、酒蔵見学や購入方法について紹介します。


株式会社菱屋酒造店は、岩手県宮古市鍬ヶ崎に蔵を構え、代表銘柄「千両男山」を手がける酒蔵です。

所在地や創業年、見学・購入方法などを整理すると、以下のようになります。

項目内容
酒蔵名株式会社菱屋酒造店
読み方ひしやしゅぞうてん
所在地岩手県宮古市鍬ケ崎下町5-24
創業1852年(嘉永5年)
代表銘柄千両男山
主な特徴純米酒を中心に、三陸の海産物とともに楽しめる日本酒を醸造
酒蔵見学事前予約制。杜氏不在時は見学できない場合あり
見学料金1,000円。約50ml×5種類の試飲を含む
購入方法酒蔵での購入、公式オンラインショップ、取扱店など

菱屋酒造店は、宮古湾に近い鍬ヶ崎地区に蔵を構えています。


菱屋酒造店を代表する日本酒が、「千両男山(せんりょうおとこやま)」です。

国税庁の酒蔵マップにも主な銘柄として掲載されており、純米酒や純米吟醸酒、山廃純米酒など、酒質や製法の異なる商品が展開されています。

1852年の創業以来、宮古の地で受け継がれてきた「千両男山」は、菱屋酒造店の歩みを伝える中心的な銘柄です。

長く親しまれてきた定番酒をはじめ、岩手県産の原料を生かした商品や、山廃仕込みによる純米酒などが造られています。


菱屋酒造店の創業は、江戸時代末期の1852年(嘉永5年)にさかのぼります。

蔵を構える鍬ヶ崎は、宮古湾に面した漁師町です。菱屋酒造店も、海とともに暮らす人々の身近な酒として、地域に根ざした酒造りを続けてきました。

創業当初は濁り酒を造り、明治以降に清酒の製造へ移ったと伝えられています。時代とともに酒造りの形を変えながらも、宮古の地で「千両男山」を受け継いできたことが、同蔵の歩みの土台となっています。

2011年の東日本大震災では、蔵や醸造設備が大きな被害を受け、貯蔵していた酒の多くも失われました。

それでも、地域や全国から寄せられた支援に支えられ、同じ年の冬には酒造りを再開しています。

震災後も鍬ヶ崎で酒造りを続けてきた歩みには、宮古の町とともに「千両男山」を受け継いでいく姿勢が表れています。


菱屋酒造店では、米の旨味を生かした純米酒を中心に、「千両男山」を醸しています。

酒蔵がある宮古市は、三陸の海産物に恵まれた土地です。同蔵でも、魚介料理とともに楽しめる味わいを意識し、食事に寄り添う日本酒を手がけてきました。

その酒造りには、「現代の名工」に選ばれた辻村勝俊氏から受け継がれた技が生かされています。現在も蔵人たちがその技術をつなぎながら、純米酒や純米吟醸酒、山廃純米酒など、造りの異なる日本酒を醸しています。

商品によっては、岩手県産の酒造好適米「結の香」や、県が開発した酵母「ゆうこの想い」も使用されています。

土地の原料を取り入れながら、香りだけを前面に出すのではなく、米の旨味や酸味、食事との調和を大切にしていることが、菱屋酒造店の酒造りの特徴です。


「千両男山」には、菱屋酒造店の歩みや岩手の原料、酒造りの幅を伝えるさまざまな日本酒があります。

ここでは、それぞれ異なる特徴を持つ3本を紹介します。


千両男山 純米酒「港に朝日、水面の光」

「港に朝日、水面の光」は、東日本大震災から10年の節目に発売された純米酒です。

震災後に復興祈願酒として造られた「フェニックス」の流れを受け継ぎ、宮古の港を思わせる現在の商品名へと改められました。

米の旨味を感じさせながら、飲み口はすっきりとした仕上がり。復興祈願酒から受け継がれた背景と、宮古の港を映した商品名が印象に残る一本です。


千両男山 純米吟醸 結の香

岩手県産の酒造好適米「結の香」を100%使用し、50%まで精米した純米吟醸酒です。

酵母には、岩手県で開発された「ゆうこの想い」が使われています。果実を思わせる香りと米の旨味を備え、やや甘口ですっきりとした味わいに仕上げられています。

岩手県産の米と酵母を組み合わせた酒造りが、この一本の個性につながっています。


千両男山 山廃純米酒

昔ながらの山廃仕込みで醸された、コクのある純米酒です。

まろやかな酸味と米の旨味が重なり、冷酒だけでなく、ぬる燗でも楽しめる味わいとして案内されています。

純米吟醸酒とは異なる、酸味や旨味の広がりをじっくり味わえる一本です。


菱屋酒造店では、事前予約制で酒蔵見学を受け付けています。

見学では杜氏が説明を行うため、不在の場合は希望日に案内できないことがあります。杜氏の翌月の予定は、毎月20日頃に決まるとのことです。

申し込みの際は、希望日と見学人数を伝えましょう。予約はメールでも受け付けています。

見学料金は1人1,000円で、約50mlずつ5種類の試飲が含まれています。車を運転する場合や未成年者など、試飲できない人がいる場合は、予約時に確認しておくと安心です。

酒蔵では「千両男山」を購入できます。また、菱屋酒造店の公式オンラインショップでも、記事で紹介した商品をはじめ、さまざまな日本酒が販売されています。

このほか、宮古市内や岩手県内外の取扱店、通販サイトなどで購入できる場合もあります。在庫や取り扱い状況は変わることがあるため、購入前に各販売先で確認してください。


宮古湾に面した鍬ヶ崎で、長く酒造りを続けてきた菱屋酒造店。

東日本大震災による大きな被害を受けながらも、同じ土地で再び仕込みを始め、「千両男山」を受け継いできました。

宮古の魚介料理とともにその一杯を味わえば、米の旨味や酸味の向こうに、港町で酒を醸し続けてきた人々の歩みも感じられるはずです。

海のそばで育まれてきた「千両男山」は、これからも宮古の食卓に寄り添いながら、この土地で受け継がれていくのでしょう。

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