岩手県紫波郡紫波町にある吾妻嶺酒造店は、1684年(貞享元年)創業の歴史ある酒蔵です。
代表銘柄は、蔵の背後にそびえる東根山にちなむ「吾妻嶺」。
南部杜氏の歩みとも深く関わる土地で、長く酒造りを受け継いできました。
現在は、兄が蔵元、弟が杜氏を務める小規模な兄弟蔵として、地元農家との契約栽培米を使い、自分たちの目が届く範囲で一本ずつ丁寧に日本酒を仕込んでいます。
この記事では、吾妻嶺酒造店の基本情報や歴史、代表銘柄「吾妻嶺」の由来、地元の酒米を生かした酒造り、主な日本酒、見学や購入方法について紹介します。
吾妻嶺酒造店の基本情報
合名会社吾妻嶺酒造店は、岩手県紫波郡紫波町に蔵を構える日本酒の酒蔵です。
1684年(貞享元年)創業で、代表銘柄の「吾妻嶺」を中心に日本酒を手がけています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 酒蔵名 | 合名会社 吾妻嶺酒造店 |
| 読み方 | あづまみねしゅぞうてん |
| 所在地 | 岩手県紫波郡紫波町土館字内川5 |
| 創業 | 1684年(貞享元年) |
| 代表銘柄 | 吾妻嶺 |
| 主な銘柄 | 吾妻嶺、あづまみね、悠楽 |
| 主な特徴 | 兄弟で受け継ぐ小規模な酒造り、地元農家との契約栽培米 |
| 酒蔵見学 | 一般向けには実施していない |
| 店頭販売・試飲 | 実施していない |
| 購入方法 | 特約販売店、オンラインストアなど |
吾妻嶺酒造店がある紫波町は、南部杜氏の歴史と深く関わる地域です。
酒蔵もまた、この土地で長い歩みを重ねてきました。
吾妻嶺酒造店と代表銘柄「吾妻嶺」
吾妻嶺酒造店を代表する日本酒が、「吾妻嶺(あづまみね)」です。
国税庁の酒蔵マップにも主な銘柄として掲載されており、その名は蔵の背後にそびえる東根山(あずまねさん)に由来します。
山が変わらずそこにあり続けるように、造る酒も末長く親しまれてほしい。
そんな願いが、銘柄名には込められています。
現在は、漢字表記の「吾妻嶺」に加え、ひらがなの「あづまみね」や「悠楽」といった銘柄も展開されています。
権兵衛酒屋から続く吾妻嶺酒造店の歴史
吾妻嶺酒造店の起源は、1670年代に近江商人の村井権兵衛が、現在の紫波町にあたる志和村へ移り住んだことにさかのぼります。
この地で「権兵衛酒屋」を構え、上方流の澄み酒造りを伝えたとされており、1684年(貞享元年)が吾妻嶺酒造店の創業年として掲げられています。
紫波町は、のちに全国へ広がっていく南部杜氏と深く関わる土地です。
吾妻嶺酒造店も、その始まりに結びつく酒蔵の一つとして、長い歩みを重ねてきました。
また、盛岡八幡宮や地域の神社へ御神酒を納めるなど、酒造りは人々の暮らしや信仰ともつながりながら受け継がれてきたといいます。
権兵衛酒屋から始まった酒造りは、紫波の土地に根を下ろし、現在の吾妻嶺酒造店へとつながっています。
地元の酒米と兄弟で受け継ぐ小規模な酒造り
現在の吾妻嶺酒造店では、兄が蔵元、弟が杜氏を務め、兄弟を中心に酒造りを続けています。
年間の製造量は、一升瓶に換算して約3万本。
仕込みから瓶詰め、ラベル貼りまで自分たちで目を配れる範囲に生産量を抑え、小さな蔵ならではの手造りを大切にしています。
原料米には、地元農家と契約栽培した酒米を使用。
美山錦や、岩手県で育成された「ぎんおとめ」など、米の持ち味を見極めながら酒質に合わせて仕込んでいます。
目指しているのは、香りだけを強く印象づける酒ではありません。
米の旨みを引き出し、岩手の食材や日々の料理とともに味わえる日本酒へ仕上げることを大切にしています。
また、醸造アルコールを加えない純米系の日本酒を中心に造っていることも、現在の吾妻嶺酒造店の特徴です。
長く受け継がれてきた南部流の技を土台に、地元の米と向き合いながら仕込みを重ねる。
その積み重ねが、吾妻嶺酒造店の酒を形づくっています。
代表銘柄「吾妻嶺」と主な日本酒
吾妻嶺酒造店では、代表銘柄「吾妻嶺」をはじめ、ひらがなの「あづまみね」を冠した日本酒も手がけています。
使用する酒米や精米歩合、酒質の違いによって、それぞれ異なる個性が表れています。
ここでは、美山錦を使った純米吟醸酒を一本、岩手県の酒造好適米「ぎんおとめ」を生かした日本酒を二本紹介します。
あづまみね 純米吟醸 美山錦
「あづまみね 純米吟醸 美山錦」は、酒造好適米の美山錦を50%まで磨いて仕込んだ純米吟醸酒です。
吾妻嶺酒造店では、美山錦を酒造りの基本となる米の一つとして扱っています。
生酒と火入れの二種類があり、冷酒から常温、ぬる燗まで、温度による変化を楽しめる一本です。
美山錦の持ち味を生かした、吾妻嶺酒造店の酒造りを知る一本です。
あづまみね 純米吟醸 ぎんおとめ
「あづまみね 純米吟醸 ぎんおとめ」は、岩手県で育成された酒造好適米「ぎんおとめ」を使用した純米吟醸酒です。
精米歩合は50%。美山錦を使った純米吟醸酒と同じ精米歩合ですが、こちらには岩手県で生まれた酒米が使われています。
生酒と火入れが用意されており、酒米の違いに目を向けながら味わいたい一本です。
吾妻嶺 純米 ぎんおとめ
「吾妻嶺 純米 ぎんおとめ」は、代表銘柄の漢字表記を冠した純米酒です。
原料には岩手県産の「ぎんおとめ」を使い、精米歩合55%で仕込まれています。
軽やかな口当たりの中にやさしい甘みがあり、冷酒、常温、ぬる燗と、幅広い温度帯で楽しめます。
同じ「ぎんおとめ」を使った純米吟醸酒と飲み比べることで、精米歩合や酒質の違いによる味わいの変化にも目を向けられるでしょう。
酒蔵見学・直売所・購入方法
吾妻嶺酒造店では、一般向けの酒蔵見学は行っていません。
自治体や教育機関などによる見学会が開かれる場合はありますが、個人や一般団体からの申し込みは受け付けていません。
また、酒蔵での店頭販売や試飲も実施していないため、商品は特約販売店やオンラインストアなどで購入する形になります。
取り扱う銘柄は販売店によって異なるため、目当ての商品がある場合は、事前に在庫状況を確認しておくと安心です。
楽天市場などの通販サイトでも、一部の商品が販売されています。
まとめ|長い歴史を小さな蔵で受け継ぐ吾妻嶺酒造店
蔵の背後にそびえる東根山に由来する「吾妻嶺」という名前には、変わらず親しまれる酒であってほしいという願いが込められています。
その名のとおり、吾妻嶺酒造店の酒造りも、紫波の土地に根を下ろしながら、長い時間をかけて受け継がれてきました。
美山錦やぎんおとめから生まれる日本酒を味わうとき、その一杯の向こうにある紫波の風景や、小さな蔵で積み重ねられてきた時間にも思いを向けたくなる酒蔵です。






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