世嬉の一酒造|約40年ぶりに復活した酒造りと「世嬉の一」「横屋」を紹介

世嬉の一の文字 岩手県の酒蔵

岩手県一関市にある世嬉の一酒造は、代表銘柄「世嬉の一」と、創業時の屋号を受け継ぐ「横屋」を手がける酒蔵です。

1918年(大正7年)に創業し、長い歩みのなかで酒蔵の建物や地域の酒造文化を守り続けてきました。敷地内に残る酒蔵群は国の登録有形文化財となっており、現在も博物館やレストランなどに活用されています。

2023年には、約40年ぶりに自社での清酒醸造を再開。受け継いできた歴史を土台に、新たな酒造りへ歩みを進めています。

この記事では、世嬉の一酒造の基本情報や歴史、現在の酒造り、代表銘柄「世嬉の一」と「横屋」の主な日本酒、酒蔵見学や直売所、購入方法について紹介します。


世嬉の一酒造株式会社は、岩手県一関市田村町にある日本酒の酒蔵です。

代表銘柄は、国税庁の酒蔵マップにも掲載されている「世嬉の一」。現在は、「横屋」も手がけています。

項目内容
酒蔵名世嬉の一酒造株式会社
読み方せきのいちしゅぞう
所在地岩手県一関市田村町5-42
創業1918年(大正7年)
創業時の名称横屋酒造
代表銘柄世嬉の一
主なブランド世嬉の一、横屋
主な特徴2023年に約40年ぶりとなる自社での清酒醸造を再開
酒蔵見学公式サイトの予約フォームから要確認
直売所酒の直売所「せきの市」
購入方法直売所、公式オンラインショップ、取扱店など

世嬉の一酒造は、JR一ノ関駅から徒歩圏内にあります。敷地内には直売所をはじめ、酒造りや一関の文化に触れられる施設も設けられています。


世嬉の一酒造を代表する日本酒が、「世嬉の一」です。

国税庁の酒蔵マップにも主な銘柄として掲載されており、その名には「世の人々が嬉しくなる一番の酒を造る」という願いが込められています。

現在は、特別純米酒や純米大吟醸酒など、酒質の異なる日本酒を展開。長く受け継がれてきた銘柄として、世嬉の一酒造の歩みを今に伝えています。

一方の「横屋」は、創業時の屋号に由来するブランドです。2023年に自社での清酒醸造を再開した後、新たな酒造りを象徴する銘柄として生まれました。

歴史を受け継ぐ「世嬉の一」と、酒蔵の原点を名前に残す「横屋」。二つのブランドが、それぞれ異なる立場から現在の世嬉の一酒造を支えています。


世嬉の一酒造の歩みは、1918年(大正7年)に始まります。

初代・佐藤徳蔵が、江戸時代から続く熊文酒屋を受け継ぎ、「横屋酒造」として酒造りを始めました。のちに、「世の人々が嬉しくなる一番の酒を造る」という願いを込めた「世嬉の一」の名が生まれ、酒蔵を象徴する銘柄として受け継がれていきます。

1944年には、戦時中の企業整備によって周辺の酒造会社と統合され、両磐酒造が設立されました。その後、1947年のカスリーン台風と翌年のアイオン台風により、一関の市街地は大きな水害に見舞われます。

このとき、世嬉の一酒造の石蔵は地域住民の避難場所となり、多くの人々を水害から守ったと伝えられています。酒を仕込む建物が、地域の暮らしを支える場所にもなった出来事でした。

1957年には両磐酒造から分離し、世嬉の一酒造として再出発します。しかし、日本酒を取り巻く環境が変化するなか、1982年に自社での清酒醸造を停止。以後は、別の酒蔵との共同醸造によって「世嬉の一」の製造と販売を続けました。

使われなくなった蔵は取り壊されず、酒造りの道具を伝える博物館や郷土料理を提供するレストランとして活用されます。1990年代にはクラフトビール事業にも取り組み、古い建物と酒造文化を守りながら、新たな事業へ歩みを広げていきました。

敷地内に残る酒蔵群は、1999年に国の登録有形文化財となっています。2011年の東日本大震災では建物の一部が被害を受けましたが、修復を重ねながら現在へ受け継がれました。

そして2023年、約40年ぶりに清酒醸造が一関の蔵へ戻ります。長く守られてきた酒蔵の一角に小規模な設備が整えられ、世嬉の一酒造は再び自らの手で酒を仕込む歩みを始めました。


世嬉の一酒造では、2023年に整えた小規模な醸造設備を使い、仕込み量を抑えた酒造りを行っています。

大量生産を前提とするのではなく、一つひとつの工程に目を配りながら酒を醸していることが、現在の酒造りの特徴です。

商品構成は純米酒を中心としており、「世嬉の一」と「横屋」の二つのブランドを展開しています。なかでも「純米大吟醸酒 世嬉の一」には、岩手県が開発した酒造好適米「結の香」が使われています。

また、純米酒や純米大吟醸酒に加え、スパークリングタイプも手がけるなど、再開した酒造りのなかで新しい表現にも取り組んでいます。

約40年の空白を経て戻った仕込みは、受け継いできた銘柄や蔵の歴史を土台に、現在の設備と規模に合った形で進められています。


世嬉の一酒造では、長く受け継がれてきた「世嬉の一」と、自社醸造の再開後に生まれた「横屋」を中心に、日本酒を展開しています。

ここでは、代表銘柄の基本となる特別純米酒、岩手県産の酒米を使った純米大吟醸酒、酒蔵の新たな歩みを伝える「横屋」の三本を紹介します。


特別純米酒 世嬉の一

「特別純米酒 世嬉の一」は、代表銘柄「世嬉の一」の中心となる一本です。

精米歩合は60%で、米の旨味とほどよい酸味を生かした味わいに仕上げられています。料理とともに楽しむことを意識した日本酒で、冷酒だけでなく、ぬる燗でも味わえます。

長く受け継がれてきた銘柄の名を冠し、食事に寄り添う特別純米酒として造られています。


純米大吟醸酒 世嬉の一

「純米大吟醸酒 世嬉の一」には、岩手県が開発した酒造好適米「結の香」が使われています。

華やかな香りとやさしい口当たりを備え、米由来の甘味を感じながらも、後味はすっきりとまとめられています。

岩手県産の原料を生かした、現在の世嬉の一酒造を象徴する純米大吟醸酒です。


特別純米酒 横屋

「特別純米酒 横屋」は、自社醸造の再開後に生まれた日本酒です。

精米歩合は60%で、米の旨味とコクを生かしながら、料理と合わせやすい味わいを目指して造られています。

創業時の屋号に由来する「横屋」の名を受け継ぎ、酒蔵の新たな歩みを伝える一本となっています。


世嬉の一酒造の敷地内には、酒造りの歴史を伝える博物館や、日本酒を購入できる直売所があります。

公式サイトには蔵体験・見学の予約フォームが用意されています。現在稼働している醸造設備を見学できる範囲や案内内容については、事前に確認しておきましょう。


酒の民俗文化博物館

「酒の民俗文化博物館」は、かつて仕込みに使われていた土蔵を活用した施設です。

館内には、酒造りの工程や道具に関する資料が展示されており、世嬉の一酒造に受け継がれてきた酒造文化に触れられます。

現在の製造現場を案内する酒蔵見学とは異なりますが、酒造りの歴史や蔵の役割を知る場所として設けられています。


酒の直売所「せきの市」

酒蔵の敷地内には、酒の直売所「せきの市」があります。

「世嬉の一」や「横屋」といった日本酒をはじめ、世嬉の一酒造が手がけるクラフトビールや蔵元の商品も販売されています。

営業時間や試飲、限定商品の取り扱いについては変更される場合があるため、訪問前に公式サイトで最新情報を確認してください。


公式オンラインショップからの購入

世嬉の一酒造の日本酒は、蔵元が運営する公式オンラインショップから購入できます。

この記事で取り上げた「特別純米酒 世嬉の一」「純米大吟醸酒 世嬉の一」「特別純米酒 横屋」も、それぞれの公式商品ページで特徴や在庫状況を確認できます。

敷地内には、郷土料理を提供する蔵元レストランや、一関ゆかりの文学資料を展示する施設もあります。日本酒の購入とあわせて、残された蔵の建物や地域文化に触れられることも、世嬉の一酒造を訪れる魅力です。


世嬉の一酒造の敷地には、長い年月を重ねてきた蔵が今も残されています。

酒造りが行われていなかった時代も、その建物は地域の歴史や文化を伝える場所として守られてきました。そして現在、再び仕込みの営みが戻り、「世嬉の一」と「横屋」という二つの名が新たな時間を刻んでいます。

一関を訪れる機会があれば、日本酒の味わいとともに、蔵の建物やそこに積み重ねられてきた歩みにも触れてみてはいかがでしょうか。

長い時を越えて酒造りが戻った姿から、この蔵が守り続けてきた建物と酒造文化の重みを感じられるはずです。

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