川村酒造店|石鳥谷で醸す「酉与右衛門」「南部関」と酒造りを紹介

酉与右衛門の文字 岩手県の酒蔵

岩手県花巻市石鳥谷町にある合資会社川村酒造店は、「酉与右衛門(よえもん)」と「南部関」を手がける酒蔵です。

1922年(大正11年)、南部杜氏として経験を重ねた川村酉与右衛門によって創業され、現在も石鳥谷の地で酒造りを続けています。

純米酒を中心に、酒米の持ち味と酸味を生かした日本酒を醸していることも、この酒蔵の特徴です。

この記事では、川村酒造店の基本情報や創業者の歩み、酒造りの特徴、代表銘柄「酉与右衛門」「南部関」の主な日本酒、見学や購入方法について紹介します。


川村酒造店の所在地や創業年、代表銘柄などを整理すると、以下のようになります。

項目内容
酒蔵名合資会社 川村酒造店
読み方かわむらしゅぞうてん
所在地岩手県花巻市石鳥谷町好地12-132
創業1922年(大正11年)
創業者川村酉与右衛門
代表銘柄酉与右衛門、南部関
主な特徴純米酒を中心に、酒米の持ち味と酸味を生かした酒造り
酒蔵見学一般向けの見学は行っていないとする情報あり
直売所公式な案内は確認できず
購入方法特約販売店、日本酒専門店、ネットショップなど

川村酒造店が蔵を構える石鳥谷町は、南部杜氏の里として知られる地域です。

創業者の川村酉与右衛門も杜氏として酒造りに携わっており、酒蔵の成り立ちは、この土地に受け継がれてきた酒造りの歴史と深く結びついています。


川村酒造店が手がける主な銘柄は、「酉与右衛門(よえもん)」と「南部関」です。

国税庁の酒蔵マップには「酉与右衛門」が代表銘柄として掲載されており、その名には創業者・川村酉与右衛門の歩みが受け継がれています。

「酉与右衛門」の最初の文字は、「酉」と「与」を組み合わせた特殊な字形で表されることがあります。

ただし、一般的な文字入力では扱いにくいため、商品名や販売店では「酉与右衛門」と記されることが多くなっています。

一方の「南部関」は、川村酒造店が地域で手がけてきたもう一つの銘柄です。

花巻や石鳥谷とのつながりを感じさせる商品もあり、「酉与右衛門」とは異なる形で酒蔵の歩みを伝えています。

創業者の名を冠した「酉与右衛門」と、地域に根ざして受け継がれてきた「南部関」。

二つの銘柄が、それぞれの背景を持ちながら川村酒造店の酒造りを支えています。


川村酒造店は、1922年(大正11年)、川村酉与右衛門によって創業されました。

酉与右衛門は16歳で酒造りの出稼ぎに出て、24歳で杜氏に就いたと伝えられています。

その後、東北六県清酒品評会で優秀賞、全国清酒品評会で一等賞金牌を受賞するなど、杜氏として経験と実績を重ねました。

また、南部杜氏組合の創立にも関わったとする資料が残されており、南部杜氏の歩みを支えた人物の一人でもあります。

こうして各地の酒蔵で技を磨いた酉与右衛門は、南部杜氏の里として知られる石鳥谷町に自らの蔵を構えました。

創業後の詳しい沿革や歴代当主については、公開されている情報が限られています。

それでも、杜氏として培った経験を礎に始まった酒造りは、現在の川村酒造店へとつながっています。


川村酒造店では、純米酒を中心に、使用する酒米や仕立ての違いを生かした日本酒を手がけています。

商品には、岩手県産の美山錦や吟ぎんがのほか、岡山県産の雄町などが使われています。

なかでも美山錦は、自家田で栽培した米を用いる商品もあり、米作りと酒造りが身近につながっていることがうかがえます。

川村酒造店の日本酒は、米の旨みと酸味のバランスを特徴として紹介されることが多く、食事と合わせやすい酒質として評価されています。

華やかな香りだけを前面に出すのではなく、旨みを酸が引き締めることで、後口にキレを感じられる酒も見られます。

また、直汲みの生原酒や火入れ酒、熟成を経た商品など、仕上げ方にも幅があります。

酒米だけでなく、精米歩合や酵母、出荷方法によって酒質に変化が生まれていることも、川村酒造店の商品構成の特徴です。

仕込み水に関する情報は限られていますが、酒米や純米造り、酸味を生かした酒質から、川村酒造店ならではの特徴を知ることができます。


川村酒造店では、「酉与右衛門」と「南部関」の二つの銘柄を中心に、酒米や精米歩合、仕立ての異なる日本酒を手がけています。

ここでは、「酉与右衛門」から2本、「南部関」から1本を紹介します。


酉与右衛門 純米大吟醸 美山錦40% 直汲み生原酒

「酉与右衛門 純米大吟醸 美山錦40% 直汲み生原酒」は、岩手県産の美山錦を40%まで磨いて仕込んだ純米大吟醸です。

酵母には協会7号酵母を使用し、搾った酒を空気に触れさせにくい状態で瓶詰めする直汲みで仕上げられています。

加熱処理を行わない生原酒のため、搾りたてに近い瑞々しさを楽しめる一本です。

爽やかな香りと、酸味が引き締めるすっきりとした口当たりが特徴として紹介されています。


酉与右衛門 特別純米 美山錦55% 直汲み生原酒

「酉与右衛門 特別純米 美山錦55% 直汲み生原酒」は、自家田で栽培された岩手県産美山錦を使った特別純米酒です。

精米歩合は55%で、直汲みの生原酒として仕上げられています。搾りたてらしい瑞々しさと、米の旨みを感じられる一本です。

先に紹介した純米大吟醸と同じ美山錦を使いながら、精米歩合や酒質の違いによって、それぞれ異なる味わいを楽しめます。


南部関 花巻農業高校栽培米「ヒカリノミチ」

「南部関 花巻農業高校栽培米 ヒカリノミチ」は、岩手県立花巻農業高校の生徒が栽培した「ひとめぼれ」を使って造られた純米酒です。

精米歩合は60%で、酒造好適米ではなく、日常の食卓でも親しまれている飯米が使われています。

「ヒカリノミチ」という名前は、宮沢賢治が花巻農業高校の前身にあたる学校で教壇に立っていた時代に作った「精神歌」の一節に由来します。

花巻で育てられた米と、地域で受け継がれてきた銘柄「南部関」が結びついた一本です。


川村酒造店の酒蔵見学については、一般向けには実施していないとする情報があります。

ただし、現在の対応を川村酒造店が公式に案内しているページは確認できませんでした。

一般向けの見学は行われていない可能性があるため、見学を前提に訪れることは避けたほうがよいでしょう。

常設の直売所や酒蔵での販売についても、公式な案内は見つかっていません。

現地で購入できるとは限らないため、訪問前に確認しておくと安心です。

川村酒造店の日本酒は、特約販売店や日本酒専門店、ネットショップなどで取り扱われています。

「酉与右衛門」は販売時期や店舗によって商品が異なり、「南部関」も流通量が限られる場合があります。

購入する際は、商品名に加えて、使用米や醸造年度、生酒・火入れといった違いも確認しておくとよいでしょう。


川村酒造店について公開されている情報は、決して多くありません。

それでも、創業者の名を受け継ぐ「酉与右衛門」や、花巻の米と文化につながる「南部関」をたどっていくと、石鳥谷で続いてきた酒造りの姿が静かに浮かび上がってきます。

一本ごとに異なる酒米や仕立てに目を向ければ、同じ蔵の酒でありながら、それぞれに違った表情があることにも気づかされます。

南部杜氏の里で受け継がれてきた酒を、食事とともにゆっくり味わう。

そんな時間の中で、川村酒造店の歩みに思いを重ねてみてはいかがでしょうか。

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