宮城県富谷市にある合資会社内ヶ崎酒造店は、1661年(寛文元年)に酒造りを始めた、宮城県最古とされる造り蔵です。
代表銘柄は「鳳陽(ほうよう)」。伊達政宗の命によって整えられた富谷宿と深く関わる内ヶ崎家の歴史を背景に、350年以上にわたってこの地で酒造りを受け継いできました。
長い歴史を持つ一方、酒造りには宮城県の酒造好適米「蔵の華」や「吟のいろは」、富谷市産の「まなむすめ」などを取り入れ、寒仕込みや手仕事も大切にしています。
この記事では、内ヶ崎酒造店の基本情報や富谷宿とともに歩んできた歴史、宮城の米を生かした酒造り、代表銘柄「鳳陽」と主な日本酒、酒蔵見学や購入方法について紹介します。
内ヶ崎酒造店の基本情報
合資会社内ヶ崎酒造店は、宮城県富谷市富谷新町にある日本酒の酒蔵です。
1661年(寛文元年)に酒造りを始め、代表銘柄「鳳陽(ほうよう)」を中心に日本酒を手がけています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 酒蔵名 | 合資会社 内ヶ崎酒造店 |
| 読み方 | うちがさきしゅぞうてん |
| 所在地 | 宮城県富谷市富谷新町27 |
| 創業 | 1661年(寛文元年) |
| 代表銘柄 | 鳳陽 |
| 主な特徴 | 宮城県最古とされる造り蔵、寒仕込み、手造りを受け継ぐ酒造り |
| 主な使用米 | 蔵の華、吟のいろは、富谷市産まなむすめなど |
| 酒蔵見学 | 要予約。現在の実施条件は確認中 |
| 購入方法 | 公式オンラインショップ、取扱店など(酒蔵での販売は確認中) |
国税庁の酒蔵マップでも、富谷市にある内ヶ崎酒造店の主な銘柄として「鳳陽」が掲載されています。
内ヶ崎酒造店と代表銘柄「鳳陽」
内ヶ崎酒造店を代表する日本酒が、「鳳陽(ほうよう)」です。
国税庁の酒蔵マップにも主な銘柄として掲載されており、純米酒や純米吟醸酒、純米大吟醸酒など、さまざまな酒質の商品が造られています。
「鳳陽」という名前は、中国の故事「鳳鳴朝陽(ほうめいちょうよう)」に由来します。鳳凰を吉兆や隆盛の象徴とする故事にあやかり、家運の隆盛を願って名付けられたと伝えられています。
富谷宿とともに歩んできた内ヶ崎家の歴史のなかで受け継がれてきた「鳳陽」は、現在も内ヶ崎酒造店を代表する銘柄として造り続けられています。
富谷宿とともに始まった内ヶ崎酒造店の歩み
内ヶ崎酒造店の歴史は、酒造りが始まる以前の富谷宿の成立までさかのぼります。
1618年(元和4年)、初代・内ヶ崎筑後は伊達政宗から命を受け、奥州街道の吉岡宿と七北田宿の間に新たな宿場を整えることになりました。こうして内ヶ崎家は、現在の富谷につながる町の成り立ちと深く関わるようになります。
その後、二代目・内ヶ崎作右衛門が1661年(寛文元年)に酒造業を始めました。以来、内ヶ崎家では代を重ねながら、この地で酒造りを受け継いできました。
創業から350年以上を数える内ヶ崎酒造店は、宮城県内で最も古い歴史を持つ造り蔵とされています。現在使われている蔵は慶応年間に建て替えられたと伝えられており、酒造りの場そのものにも長い年月が刻まれています。
宿場町として人々が行き交った富谷で始まり、町の歩みとともに続いてきた酒造り。内ヶ崎酒造店の歴史は、富谷という土地の歴史とも深く結びついています。
宮城と富谷の米、寒仕込みで受け継ぐ酒造り
内ヶ崎酒造店では、宮城県産の米を生かしながら、寒い時期の気候と手仕事を大切にした酒造りを続けています。
使用する米には、宮城県の酒造好適米「蔵の華」や「吟のいろは」のほか、富谷市産の「まなむすめ」などがあります。県内で育てられた米だけでなく、酒蔵のある富谷の米も酒造りに取り入れていることが特徴です。
仕込みは、冬の自然な寒さを利用する寒仕込みを基本としています。気温の低い時期にゆっくりと発酵を進めながら、南部杜氏から受け継がれてきた技を生かして酒を醸してきました。
酒造りの現場には、昔ながらの設備や工程も残されています。過去の取材では、和釜で米を蒸し、長く使われてきた麹室で麹を育て、木槽で酒を搾る様子が紹介されています。
その一方で、原料米には「吟のいろは」のような新しい宮城県産酒米も取り入れられています。長く受け継いできた設備や手仕事を大切にしながら、新しい地域の酒米も酒造りに生かしていることが、現在の内ヶ崎酒造店の特徴です。
内ヶ崎酒造店「鳳陽」の主な日本酒
内ヶ崎酒造店では、代表銘柄「鳳陽」のもと、宮城県産の酒米や富谷市で育てられた米を生かした日本酒を手がけています。
ここでは、その中から酒蔵の特徴が伝わりやすい3本を紹介します。
純米大吟醸 鳳陽
「純米大吟醸 鳳陽」は、宮城県の酒造好適米「蔵の華」を使用した一本です。
精米歩合は1800mlが43%、720mlと300mlが45%。やさしい香りと芳醇な味わいを持ちながら、後口には心地よいキレが感じられる酒として紹介されています。
国内外の鑑評会でも評価されており、2024年のインターナショナル・ワイン・チャレンジ(IWC)SAKE部門では金賞を受賞しました。また、令和3酒造年度の全国新酒鑑評会では、「蔵の華」を使用した酒として初めて金賞を受賞しています。
宮城で生まれた酒米「蔵の華」を使い、内ヶ崎酒造店を代表する純米大吟醸として造られている一本です。
純米大吟醸 鳳陽だるま
「純米大吟醸 鳳陽だるま」は、宮城県の酒造好適米「吟のいろは」を100%使用しています。
精米歩合は45%、アルコール分は15度。リンゴを思わせる華やかな吟醸香と、口の中に広がる甘味を特徴とする純米大吟醸です。
令和4酒造年度の全国新酒鑑評会では、「吟のいろは」を使用した酒として初めて金賞を受賞。さらに、インターナショナル・サケ・チャレンジ2024では金賞、Kura Master 2026ではプラチナ賞を受賞しています。
長く受け継がれてきた「鳳陽」に、新しい宮城県産酒米「吟のいろは」を取り入れた純米大吟醸です。
純米酒 蓑かくし
「純米酒 蓑かくし」は、内ヶ崎酒造店が蔵を構える富谷市で育てられた「まなむすめ」を使って仕込まれています。
精米歩合は67%、アルコール分は15度。すっきりとした喉越しを特徴とし、地域で長く親しまれてきた純米酒です。
「蓑かくし」という名前には、蓑に隠れてしまうほど小さな田んぼにまつわる逸話が重ねられています。富谷で育てられた米を使うだけでなく、商品名にも土地とのつながりが表れている一本です。
内ヶ崎酒造店の見学・直売所・購入方法
内ヶ崎酒造店の酒蔵見学については、事前予約制とする案内があります。ただし、見学できる時期については公開情報に違いがあります。
国税庁の酒蔵マップでは、仕込み期間にあたる10月から4月を除いて見学を受け付ける旨が案内されています。一方、宮城県酒造組合では、6月から8月を対象とした見学案内が掲載されています。
そのため、見学を希望する場合は、予約の可否だけでなく、見学可能な時期や曜日、時間帯についても事前に確認しておくとよいでしょう。
見学料金や所要時間、試飲の有無、酒蔵での販売方法については、現在内ヶ崎酒造店へ確認しています。
「鳳陽」は公式オンラインショップや取扱店などでも購入できます。遠方から購入する場合は、こうした通販を利用する方法もあります。
まとめ|富谷の歴史とともに「鳳陽」を醸し続ける酒蔵
内ヶ崎酒造店の歩みをたどると、酒蔵の歴史だけでなく、富谷という町の成り立ちそのものが見えてきます。
宿場町として人々が行き交った時代から、この土地で酒造りを続けてきた内ヶ崎酒造店。その長い歴史は、受け継がれてきた技だけでなく、今の富谷や宮城で育つ米を酒に生かす姿にもつながっています。
「鳳陽」を味わうときには、一本の日本酒の向こうに、宿場町として歩んできた富谷の時間にも思いを重ねてみたくなる酒蔵です。






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