宮城県塩竈市にある阿部勘酒造株式会社は、代表銘柄「阿部勘」を手がける酒蔵です。
1716年(享保元年)に酒造りを始め、鹽竈神社の御神酒御用酒屋として歩みを重ねながら、300年以上にわたって塩竈の地で酒造りを受け継いできました。
現在は、港町・塩竈の魚介や料理に寄り添う食中酒を大切にしており、2026年には主力ブランドを「塩竈 阿部勘」へと刷新しています。
この記事では、阿部勘酒造の基本情報や鹽竈神社とのつながりを持つ歴史、塩竈の食文化に寄り添う酒造り、代表銘柄「阿部勘」の主な日本酒、酒蔵見学や購入方法について紹介します。
阿部勘酒造の基本情報
阿部勘酒造株式会社は、宮城県塩竈市西町にある日本酒の酒蔵です。
1716年(享保元年)に酒造りを始め、現在は代表銘柄「阿部勘」を中心に、「於茂多加男山」「四季の松島」などの銘柄を手がけています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 酒蔵名 | 阿部勘酒造株式会社 |
| 読み方 | あべかんしゅぞう |
| 所在地 | 宮城県塩竈市西町3-9 |
| 創業 | 1716年(享保元年) |
| 代表銘柄 | 阿部勘 |
| 主な銘柄 | 阿部勘、於茂多加男山、四季の松島 |
| 主な特徴 | 塩竈の海の幸や食事を引き立てる食中酒を重視 |
| 酒蔵見学 | 一般向けの見学は行っていない |
| 購入方法 | 取扱販売店など |
300年以上にわたって塩竈で酒造りを続けてきた阿部勘酒造には、鹽竈神社とのつながりや、港町の食文化に寄り添う酒造りが受け継がれています。
阿部勘酒造と代表銘柄「阿部勘」
阿部勘酒造を代表する日本酒が、「阿部勘」です。
国税庁の酒蔵マップにも主な銘柄として掲載されており、長く阿部勘酒造の中心となるブランドとして受け継がれてきました。
2026年5月には、「阿部勘」を「塩竈 阿部勘」へと刷新。酒質設計やラベルデザインも見直され、港町・塩竈の食文化とのつながりをより明確にしたブランドとして新たな展開が始まっています。
現在の「塩竈 阿部勘」では、「翠潮(すいちょう)」「玄潮(げんちょう)」「橙潮(とうちょう)」「黄金潮(おうごんしお)」からなる「潮」シリーズが展開されています。
長く受け継がれてきた「阿部勘」の名に、酒蔵が根を張る土地の名前を加えた「塩竈 阿部勘」。伝統をそのまま残すだけではなく、現在の塩竈らしさを伝えるブランドへと歩みを進めています。
鹽竈神社の御神酒から始まった阿部勘酒造の歴史
阿部勘酒造の創業は、1716年(享保元年)にさかのぼります。
当時、鹽竈神社のふもとで商店を営んでいた初代が、伊達藩の命によって酒造株を譲り受けたことをきっかけに酒造りを始めました。その後、鹽竈神社の御神酒御用酒屋として酒を納めながら、塩竈の地で歩みを重ねていきます。
初代・勘九郎には、濁酒を樽に入れて担ぎ、一日に町を七回まわって販売したことから「七廻り勘九郎」と呼ばれたという逸話も残されています。酒造りを始めた頃の阿部家と、塩竈の町との近い距離を感じさせる話です。
その後も代々酒造りを受け継ぎ、阿部勘酒造は塩竈に根ざす酒蔵として歴史を重ねてきました。
1994年には道路拡幅事業によって蔵の一部が道路用地となったことを受け、新しい工場を建設。2017年には阿部勘酒造株式会社が設立され、現在の体制へとつながっています。
こうして、1716年に始まった酒造りは、300年以上を経た現在の阿部勘酒造へと受け継がれています。
港町・塩竈の食に寄り添う酒造り
阿部勘酒造が大切にしているのは、料理とともに楽しめる食中酒としての日本酒です。
酒蔵のある塩竈は、新鮮な魚介や寿司をはじめとした食文化と深く結びつく港町です。阿部勘酒造では、そうした土地の食に寄り添い、酒だけが前に出るのではなく、料理の味わいを引き立てる酒造りを続けています。
目指しているのは、すっきりとした飲み口のなかに米の旨みがあり、食事と合わせても飲み飽きしにくい酒質です。宮城県産米を中心に使いながら、商品によっては山田錦や亀の尾なども取り入れ、それぞれの酒に合った味わいへと仕上げています。
魚介や寿司、日々の食卓とともに楽しめることを大切にする姿勢は、長く塩竈で酒を造ってきた阿部勘酒造らしさのひとつです。
「塩竈 阿部勘」を代表する主な日本酒
「塩竈 阿部勘」では、「潮」シリーズとして酒質や使用する酒米の異なる日本酒が展開されています。
ここでは、その中から「翠潮」「玄潮」「橙潮」の3本を紹介します。
塩竈 阿部勘 翠潮
「翠潮(すいちょう)」は、「塩竈 阿部勘」の原点となる食中酒として位置づけられている一本です。
穏やかな香りと米の旨みを感じさせながら、後口はすっきりと切れる酒質に仕上げられています。
魚介をはじめとした料理に寄り添うことを意識して造られており、阿部勘酒造が大切にする食中酒の方向性を感じられる日本酒です。
塩竈 阿部勘 玄潮
「玄潮(げんちょう)」は、透明感のある繊細な香りと、爽やかな後口を特徴とする日本酒です。
やわらかな甘みを持ちながらも味わいを強く押し出しすぎず、素材そのものの持ち味を引き立てるように設計されています。
魚介の刺身や焼き物など、素材を生かした料理と合わせながら楽しめる一本です。
塩竈 阿部勘 橙潮
「橙潮(とうちょう)」は、酒米に「亀の尾」を使用した日本酒です。
なめらかな質感とまろやかな余韻を持ち、料理と酒が自然になじむような味わいを目指して造られています。
握り寿司や椀物、煮物など、日本料理との組み合わせも意識されており、「翠潮」「玄潮」とは異なる個性を持つ一本です。
酒蔵見学・購入方法
阿部勘酒造では、現在、一般向けの酒蔵見学は行っていません。
宮城県酒造組合でも酒蔵見学は「不可」と案内されているため、見学を目的に現地を訪れることはできないと考えておいた方がよいでしょう。
また、現在の公式サイトでは、阿部勘酒造からの直接販売は行っていないと案内されています。そのため、酒蔵で日本酒を購入するのではなく、取扱販売店を利用する形になります。
「塩竈 阿部勘」をはじめとした商品は、日本酒専門店や取扱店などで購入できます。近くの販売店が分からない場合は、公式サイトの問い合わせ窓口から案内を受けることも可能です。
まとめ
阿部勘酒造をたどっていくと、長い歴史そのもの以上に、塩竈という土地との距離の近さが印象に残ります。
鹽竈神社との関わりから始まった酒造りは、時代とともに形を変えながらも、港町の食や暮らしに寄り添う姿勢へとつながってきました。
現在の「塩竈 阿部勘」にも、その土地らしさを大切にしながら酒を造る考え方が表れています。
一杯の日本酒だけでなく、その背景にある塩竈の風景や食文化にも目を向けてみると、阿部勘酒造の魅力がより身近に感じられるでしょう。







コメント